IBL ニュース

Girdin関連抗体を4種リリースしました。Girdinは、がん細胞の浸潤や転移に重要な役割を果たす新しいタンパク質です。名古屋大学高橋先生率いる研究チームにより、酵母two-hybrid法を用いたスクリーニングにより、Aktの新規基質であるGirdin (Girders of actin filamentの略)は発見され、GirdinがAktの下流で細胞運動に重要な役割を果たしていることが明らかにされました。

機能解析によりGirdinが新規アクチン結合蛋白であり、Aktによってリン酸化を受けるとアクチン線維の再構成を生じ、細胞運動に重要な役割を果たす細胞先導端のラメリポディアの形成に関与していることが証明されました。当社では、リン酸化Girdin抗体を含む各種抗体を販売しており、最近これらを用いた研究により、Girdinのリン酸化状態の変化が、細胞移動に関連したin vivo, in vitroでの構造変化に関連していることが示されています。
Girdin is phosphorylated on tyrosine 1798 when associated with structures required for migration. Omori K et al. Biochem Biophys Res Commun. 2015 Mar 20;458(4):934-40.

（新製品リリース）
#28143 Anti-Human Girdin (Phospho-Y1798)Rabbit IgG A.P
#28145 Anti-Human Girdin (Phospho-Y1764)Rabbit IgG A.P
#28147 Anti-Human Daple Rabbit IgG Affinity Purify
#28149 Anti-Human Gipie Rabbit IgG Affinity Purify

#28143 Anti-Human Girdin (Phospho-Y1798) Rabbit IgG A.P. 関連画像 培養NIH3T3細胞におけるリン酸化Girdinの分布　束状のアク チン重合体を可視化するために細胞をphalloidinで染色した。pY1798 Girdinの点状のシグナルはNIH3T3細胞のphalloidin陽性ストレス線維と共局在していた(2,4)。pY1798のシグナルは葉状仮足(1)及び、糸状仮足の先端(3,4)にも認められた。
​画像提供：名古屋大学医学部・医学系研究 科 腫瘍病理学／分子病理学分野 高橋雅英教授 


マウス脳におけるpY1798Girdinの分布　生後14日のパラフィン包埋マウス脳組織：Girdin野生型マウス（Girdin +/+）、Girdin LacZノックインマウス（Girdin -/-）、をpY1798 Girdin 抗体で染色した。DABで発色しヘマトキシリンで対比染色した。左側が弱拡、ボックス部分を右側に拡大表示した。陽性シグナルが海馬歯状回（ the hilum-side of the granule cell layer ）に認められた。​
画像提供：名古屋大学医学部・医学系研究 科 腫瘍病理学／分子病理学分野 高橋雅英教授 

【Daple, Gipie 抗体】 新規Girdinファミリー分子 Wntシグナル、小胞体ストレス研究に
Daple（Dishevelled-associating protein with a high frequency of leucine residues）
#28147 Anti-Human Daple Rabbit IgG Affinity Purify
古典的（β-catenin依存的）および非古典的（β-catenin非依存的）Wntシグナル伝達経路は胚発生、組織の細胞構築の形成・維持、細胞の増殖などを制御するシグナル伝達経路であり、癌を含む多くの病態に関与しています。中でも、非古典的Wntシグナル伝達経路は組織の極性決定や細胞の運動を制御することが知られています。

Dapleは大阪大学の菊池章教授のグループによって同定された分子で、GirdinやGipieと配列上の相同を示します。DapleはDvl（スキャフォールド分子Dishevelled）と結合し、その相互作用を介してWnt5a刺激依存的なRacの活性化を制御することが示されました。培養細胞を用いた実験で、Dapleはアクチン骨格の再構成や細胞運動に必要であること、また、Dapleノックアウトマウスの解析により、本分子機構が皮膚の創傷治癒に重要な役割を果たすことも明らかとなりました。
The Dishevelled-associating protein Daple controls the non-canonical Wnt/Rac pathway and cell motility. Ishida-Takagishi M et al. Nat Commun. 2012 May 29;3:859.

Gipie
#28149 Anti-Human Gipie Rabbit IgG Affinity Purify
新規のGirdinファミリー分子であるGipieは、内皮細胞に発現し、ERストレスによって誘導される分子で、分子量７８ｋＤａのグルコース制御タンパク質GRP78と相互作用します。このことにより、IRE1-JNKシグナル伝達経路を制御し、アテローム性動脈硬化や血管内皮障害のような状況下でのERストレスが誘導するアポトーシスに対して内皮細胞を保護する機能を有することが報告されています。
Protective role of Gipie, a Girdin family protein, in endoplasmic reticulum stress responses in endothelial cells. Matsushita E et al. Mol Biol Cell. 2011 Mar 15;22(6):736-47.

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